お散歩

ブログ

久しぶりの実家、もうすぐ91歳になる母は相変わらず元気だった。
年齢的な認知も入り同じ話を繰り返す母だが、普通に会話も進む事が殆どで安堵する。

「なんで近くにいないのかな、近くにいたら一緒にお買い物したり、おかず作ったから食べて〜なんて出来たのに、かおるちゃんが側にいたら楽しいのになぁ……。」
最近私も母が側にいたらいつでもお買い物に一緒に楽しく行けるのに、と思っていた。

「近くにいたら一緒に美容院にも行けたのに。」
事業支援をしたクライエントが先月小さな店舗を構えられた時、お母さんと一緒に来れたら、と思ったばかりだった。

「仕事は順調なの?」
待ってましたとばかりに、厚生労働省委託事業 就職ガイダンス事業 講師で伺った中学校の報告書を手渡した。
参加した生徒たちのあたたかく優しい言葉が並んだ感想を、嬉しそうに目を細めて読んでいた。
その姿は私にそっくりw

さぁ!っと立ち上がった母、「お散歩行こう!けいちゃん、かおるちゃん!」
91歳になる母から、お散歩に誘われたw

住宅街の高台に差し掛かり歩みを止めた母、「昔と風景は変わったけれど、この景色だけは変わらないのよ。」
振り返ると、そこには富士山が見えた。
中学生の頃から私も見ていた景色だった。
変わらない富士山をしばらく見ながら話して、母はまたお散歩を始めた。

少しふらつながらもしっかりと歩く母が向かったのは、伊勢から60年ほど前に横浜にお嫁に来て、親族以外で初めてお付き合いが出来たご夫婦家族が住んでいた大きなお屋敷だった。


「やっぱり無くなっちやった……。」
そこにあった大きなお屋敷は何処にもなく、新築戸建て住宅6棟の建設現場が目に入った。
10数年前にご夫妻は亡くなり娘さんが住んでいたのは知っていたようだが、母の落胆ぶりは悲しく映った。

「さぁ、かおるちゃん、けいちゃん、帰ろう!」

一日30分のお散歩、富士山を眺めながらのお祈り、寝る前30分体操を欠かさず行う母の何事もコロッとカラッと受け入れる資質、私の中にも受け継いでいるのか、いないのかは定かでは無いけれど、その母とご縁があっての娘なんだよな……、と母を思いながら最終の新幹線で盛岡に帰って来た。

母ながら、継続する力と努力はいつもながら凄いな、ほんとに……。

コメント

  1. ゆか より:

    あたたかな時間が流れる空間を覗かせていただいているようでした。ありがとうございます。

    神先生のお母様の継続する力、努力…、頭が下がります。私の足りないところが沢山ある中の一つです。

    限りある時間の中で家族との時間を大切に、あたたかく過ごしたいのに過ごせていない自分の愚かさに弱さに恥ずかしくなります。家族に対して申し訳ない気持ちでいっぱいです。改めていきます。

    • kaoruko kaoruko より:

      そうだね、時間は限りもあるし戻せない。
      だから大切だね。

      そして見えないけれど、現象界ではみんなそれに縛られているね。

  2. かなみ より:

    変わらないものもあれば変わりゆくものもある。とても切なくなりました。
    でもそれを受け入れて前を向いて歩みを進めるたくましさを神先生のお母様から感じさせていただきました。
    自分もそうでありたいです。

    先日、カフェの帰りに『毎日頑張るんだよ!!』と神先生からかけていただいた温かく力強いお言葉を胸に、一番身近な娘に明るくたくましく生きる姿を見せられるように、問題と向き合っていきます。

    神先生、いつも有難うございます。

    • kaoruko kaoruko より:

      強くならないとならない時が迫って来ているよ、我が母から感じた事を持ち続けて進んでください。

      がんばれ!ってがんばっている人に言うな、って言葉があるけれど、歯を食いしばり頑張らないとならない時は、必ずあるんです。
      それを見逃さないように、天から頂けた成長できるチャンスだからね。

  3. naomi より:

    世知辛い世の中に、こんなにも、あったかい世界があるのだと、心穏やかに満たしていただきました。

    神先生、神先生のお母様が仰った、
    ”側にいたら〜”の会話は、とっても具体的で、楽しい想像が優しく広がります。

    見事なまでに、受け入れて切り替える、器の大きさと、深さと、強さを感じました。

    神先生のなるべく近くで見て聴いて、マネをするなんて、難しくてとてもできないけど、それでも実践し続けるしかないと思いました。

    • kaoruko kaoruko より:

      そうだね、側にいたらを今日、実感出来た出来事に遭遇できたね。
      今日の出来事は、あなただけにしかわからない世界、大切ね。

  4. sato より:

    思いやりにあふれていて、とても温かい気持ちになりました。
    神先生、ありがとうございます。
    そして、私と母、私と子ども達の関係を考えさせられました。
    神先生とお母様のようなお互いを思いやる親子になりたいと思いました。

    それと、なんだか寂しい気持ちにもなりました。
    当たり前だったものが当たり前ではなくなることがあるのに、私はずっと続くような気持ちでいました。
    もっと色んなものや事を大切にして生きたいと思いました。

    • kaoruko kaoruko より:

      お母さん、大好き!、かおるちゃん大好き!の気持ちがいつの間にか”互いを思いやり”、になっていったんだよ。
      今日の大人道徳の中での課題と同じだね。

  5. eiko より:

    ブログを通して先生とお母様のあたたかい時間を分けていただいた気持ちですありがとうございます。そして先生にお世話になりました美容室、お母様と一緒に行けたらと、思っていただけたこと嬉しく涙が出ます

    時が経ち、変わるもの変わらないものがあり、想いはあったかく生ものだなぁと改めてブログを読み感じました。
    お母様の継続力と努力。。。見習います。
    そして先生と、お母様を優しく見守るようにお写真を撮る啓先生の暖かい姿も目に浮かびます。

    子供との日常の会話もっと楽しもうと思いました!

    • kaoruko kaoruko より:

      「お母様の継続力と努力。。。見習います。」、では見習えないなw、一言も二言も足りないww

      このブログから、啓の姿が想像できて、しかもそこに感情も乗せられたのはいいよ〜!

      自分の身体の今後も想像でき、それに伴う行動が促されますように祈る!

      • eiko より:

        返信からも学びです。ありがとうございます。
        言葉足らずでした。。
        想像した事柄に感情を載せ、行動できるように自分の身体にも目を向けていきます。

  6. eiko より:

    はい!聴きに伺います!

  7. おが より:

    開く度に、印象や感想が少しずつ変わる写真です。
    先生の視点、お母樣の視点、啓先生の視点、富士山の視点とそれぞれがちょっとずつ見ている世界が違うから色々な感情にさせられます。
    人の営みは儚いけれど、100年前も100年後も、先生とお母様の心は通い合っているのだと思います。
    大事なものは、厳選されて、時間や場所を越えても長く残っていくのですね。
    そういう見方なら、カルマも大事なのねと…思えます。
    神先生が教えてくれた大切なことは、盲導犬カレンダーを経由して、子どもたちの心に畳みかけてくれます。
    先生が、あの子たちの言葉を大事に大事に受けとって下さっているからですね。
    ありがとうございます。

    • kaoruko kaoruko より:

      コメントを読んでいたら、写真の中に戻って母と歩くことができました。
      ありがとう、おがさん。

      そう、教室にかけてある盲導犬カレンダーから、日々溢れ出ているエネルギーは、素直な子どもたちに注がれていますね。
      注ぎ込めるエネルギーも喜んでいます。
      ありがとう。