タロット占い師優歌氏

彼女はJR鶴見駅西口にある小さなスペースで週替わりで座っていた。
バスに乗る際に必ずそこを通る私は、タロットか……私の世界には無いなタロット、と思いながらその都度彼女を横目で見ていた。

ある日、目が合った。思わず、『いいですか?』声を掛けてしまった。
どうぞ、と言い掛けた彼女は怪訝そうな顔をしたように見えた。

彼女の前に座った。
彼女は私と目を合わさない、後ろを見ている、なぜ?彼女の目を追った。
「な、な、何を鑑定するのですか?」
『う~ん、今の私?かな?……
「鑑定するんですか?」
『えっ?……だめなの?』
……
『次の予約とかで時間が足りないのですか?』
……そうじゃ無いのですが……
『じゃ、お願いします。』
「ほんとに?」
彼女は渋々タロットカードを手際よくパッと広げ並べた。
指示された通りにカードを選んでいく。

彼女の鑑定が始まった。
一枚一枚カードを見ていく。

全てのカードが出揃った。
全てのカードの絵柄が金色、コインも金色に輝いていた。

彼女は納得と少し難しい顔をし、私の顔を下から舐めるように見上げ凝視した。
『これは、どういう意味ですか?……
……、何でやらないの?」
『何を?』
「えっ!わかってないの?」
『?』
……本当に?」
『何?……?』
「何って……
『何か悪いのですか?』
「ほんとにわかっていないのね、あなた。」
『?。薫子です。』
……もう、薫子さんの後ろにはたくさんの神さまがいらっしゃるんです、しかも皆さんニコニコして並んでいるんですよ。」
『か、か、神さま!?』
「薫子さんの周りに、金粉が舞っています!もう眩し過ぎるんです!」
『!?、そう見えるんですか?』
「見えるも何もそうなんだもの。ニコニコしてるのよ神さま方……そして、早く!早く!って叫んでいるの!」

これが鑑定1回目、2回目に伺ったのはその半年後くらい。
「ねぇ、薫子さんまだ動いて無いね。どうするの?後ろの神さまの数、めちゃ増えてるよ、おしくらまんじゅう状態、でもみんなニコニコしている。薫子さん!薫子さん!応援するぞ!応援するぞ!って。なんで動かないかな?こんなにみんな待っているのに。早く動かないと、薫子さん!」

おしくらまんじゅうってか?、私の後ろはいったいどうなっているの???

彼女は私との違いを話し始めた。
「自分は、スピリチュアルの世界が大好きで、タロットカードを猛勉強し、この世界で通用するまでになった。
生まれつきでは無い人間は、時間もお金も掛けて相当の努力をしないとならない。
薫子さんはずっとそう……魂そのものも違う……人?……そういった能力を当たり前に持ち合わせて、この世に来ている。しかも今や、金粉を撒き散らせながらゾロゾロと神さまも従えて歩く、あり得ない。
生まれつきとそうで無い者との違いは、違い過ぎる。」

夢見さんに10年ぶりに連絡をした。
自分の進む道を押し出されたように進み始めた事と、夢見さんの仰っていた事がやっと理解出来た事を伝えた。
「お導きがあったのですね、良かった……、本当に良かった。人類の為に御尽力下さい。薫子さんしか出来無いから。早くしないと間に合わない。後ろの神さま方もやっと動いてくれるので、大喜びです。」

夢見さん、ありがとう。