あ~たくさんのエピソードがあり過ぎて、なんて表現したらいいのだろう、この世の事ではないから、この世の言葉を並べられない、並べると陳腐になっちゃうんだよな……
こんな事を思いながらパソコンを打ち始めた。
今から1年と4か月前の2022年4月、はり・きゅう治療院 明仁堂“院長太田征志先生”に辿り着いた。
無謀な事に挑戦している真っ最中に、首肩がギシギシになり固まり、酷い痛みが日に日に増し出した頃だった。
ネットで探した治療院の玄関を開けると、お灸の香りが鼻に付き、薄緑色の長椅子が目に入った。
初回の問診票に今までの怪我や病気、手術した時期や内容を記入した。
自分の体の歴史をなぞるように書き進められた。
40代後半からずいぶんと体が悲鳴を上げて来ていた事が見て取れた…….。
名前を呼ばれるまで、自分の体を摩り、ごめんね、と謝った。
施術室の扉が開いた。
「どうぞ。」と言ったのは、真朱色をした龍!だった。
えっ、ここはそう言う所?鍼灸院で?
はい、と返事をしたものの……椅子に腰掛け顔を挙げると、40代半ばの男性が美しく座りこちらを見ていた。
あっ、人に戻っている!
この方が院長の太田先生?……
問診票を見ながら質問されるが一向に頭に入って来ない!
美しい男性と真朱色した龍が、入れ替わり立ち替わり姿を現して来る、頭に入ってくる訳ない!
誰に問診されたのかよくわからないまま、ベットに横たわった。
仰向けになりしばらく脈を診られた後に、鍼を打たれた。
鍼を打つとそこにビリビリっと一瞬、稲妻が走る。
(ちょっと痛い!痛いんだけど!先生を叩きたくなるが龍かもしれないから辛抱……)
チクッ、チクッ、ズーンとした感覚が激しく体を巡りだす。
全部で何本鍼を打つのか数えたかったが、そんなものはどこかに飛んでいってしまっていた。
次にお灸が始まると、お灸の熱は糸のように細くなり体の中を、また激しく巡るように進んで行った。
気持ち良いのか?これは……意識は急に真っ白な中に向かって行った……。
しばらくして声をかけられ、うつ伏せになった。
仰向けとは違うプス!っとした感触を背中に受けた。
鍼が打たれ、先程とは違うお灸の感覚が有り、打たれた所だけに渦が巻き、その渦は真っ直ぐ深く体の奥に進んでいった。
鍼を打ちお灸をしているのは、真朱色の龍?先生?……と意識が交差しながら薄れていった。
「お時間になりました。」
深い所から急に引き戻された。
気持ち良くボーッとしている耳に入ってきたのは、
「半年もしたら60歳になる体は今更もうどうにもならないですね。」
ほんわか暖かい体じゅうに、氷の槍がグサッと刺さった……
『えっ!』
しばらく次の言葉が出て来なかった。
「48時間のお産のダメージが酷いですね。」
確かに普通分娩で48時間と聞くと、皆さんびっくりする。
産後という言葉が当てはまるのか戸惑うが、息子のお産から36年も経過しているのに、それが響いている事を伝えられ、ちょっと愕然とした。
「皆さん産後、普通に動けるようになり、元の体力が戻ったと思ってはいるけれど、それは違います。ダメージを受けた状態に、体が慣れただけです。」
槍が刺さり寒々とした物が体に刺さってはいるが、そうなんだ、と苦しいが納得する……。
36年前のダメージをどうしたらいいのか、ここの治療院は通えないの?私?
そういえばそもそも、その事で来た訳ではないが、その他様々な話を聞いているうちに、根本をどうにかしないと“肉体”の改善は見込めない、って伝えているのが理解できた。
“魂”の水準を上げないと、どうにもならないよ、いつも私がクライエントに伝えている事と重なった。
“肉体”と“魂”……、何か過った、そして繋がった。
『私は通えないですか?』(少し怒って)
「そうですね、もう60になるので、どうにもなりませんね、ここまでのダメージでは……。」
通っても無理ですよ、あなたの体は、というニュアンス。
凄っげ、相当な腕、自分の腕に自信があるから、面と向かってもこう伝えられる。
自分と重なる部分が有り共感できる。
真朱色の龍先生なのか、先生が言っているのか、わからないけれど伝えられた言葉を一切無視し、私は次の予約を入れて帰ってきた。
めげずに通った2、3回目の施術後、「薫子さん、ご自分の事をわかっていますか?」と、怒ったように先生は、切り出して来た。
来た!
やっぱり!
この方は、彼方からこの現象界を見ている方だ、確信!。
自分の家系の事を躊躇なくすっきりと全て伝えた。
「やはりそのような家系だったのですね。」、龍?先生?は仰った。
今までこのような事を私は何人にも、自称こちら側にいるであろう人に言われては来たけれど、それでどうしたこうしたは無く、その場で縁が切れていった。
伝えた側は、自分にはそう見えた感じた、と驚いた様子で語り怪訝そうな顔を残し、私を置き去りにした。
そしてプツンと途切れ、私はいつも放り出され、おいおい!続きないの?って気持ちだけがポツンと取り残された。
しかし、先生は違っていた。
「天と繋がっている薫子さんを、天から降りてきた薫子さんをどこまで上げられるか、私はやります。」
『て、て、天と繋がっている?天から降りてきた?誰の事??、何を上げるの?』
「薫子さんは天から降りて来ているのですよ。」
『……!』
「生まれてから天と繋がれる方は、いらっしゃいますが、それもとても稀な事。
薫子さんは生まれた時から、いや、ずっとです。
上から来ているから、繋がったとかではなく、繋がっちゃってるんです。」
『つ、つ、繋がっちゃってる?何が?』
「そう、だから天から降りて来て、天に戻られる方です。
肉体を持って今世は存在しているだけです。」
『!……!。(なに!?陰陽師は?私はなに!?……じいちゃん、ばあっちゃん……)』
「やって見ましょう!薫子さん!」
言葉に追いついて行くのが大変だった。
いつかこのように何かをはっきりとした形で教えを頂く時が来るのではないか、はっきりとした意志を持ち、伝えてくださる方に出会うのではないかと、思ってはいたが、”もうどうにもなりませんよ”、って突き放された治療院で、盛岡の街中で、家から車でビュン!って所の鍼灸院で聴く事になるなんて……。
今までびっくりするような事を伝えてくれたプツンと縁切れした方々は、“伝えるだけの役割”だった。
先生は、持っている力を世の中に役に立つように、引き出しましょう!なんとかやって行きましょう!、
そして、今行っている事は大切ですが、薫子さんの能力を使うところは、そこではないです、薫子さん。
ここででは無いです!と、はっきりと仰る。
じゃどこで使うの?使えるの?っと思う。
閉ざされている能力は、何百年後?に再び生まれ変わらないと次の階層にはいけないと考えていたから、今の現象界ではがんばる事がそれに近づく事になる、それが目的と考え、がんばっていたのだが、その能力を解放出来ると仰る、全てを託し委ねる気持ちになるのに時間は必要なかった。
今まで錆びついて微かにしか回らなかった歯車が、錆がぽろっぽろっと剥がれ歯車がぐんぐんと回り出し始めた。
閉じていた能力が先生により、解放されて行くのを心地良く感じる、そして背後が密になっていくのが分かる。
どのくらい通った頃だろうか、先生は私にこう切り出した。
「薫子さん、私はあなたを裏切るような事はしませんから。
“魂”の繋がりは、そのようなものではありません。
“魂”に裏切りはありません。」
なんという言葉、この世でこんな言葉を並べられる方がいるなんて……震えた。
とても嬉しかった有り難かった……感謝がどんどん拡大していった。
先生はある日、またこう仰った。
「薫子さんが行うラクセーションの際、天が全てを行うので、クライエントに対して薫子さんはもう何もしないで良いですよ。天が全てを担って行ってくれます。」
『何も?何もしなくてもいいの!?えっ、どういう事?』
「薫子さんは歩くパワースポット、それに神柱を常に……常駐神柱は三本ですね。
Ravennaには数え切れない神柱がいらっしゃるのだから、薫子さんはそこにいるだけでいいのです。
そしてパワースポットの薫子さんだから、そのパワースポットがいる所でのリラクセーションですよ。」
『!歩くパワースポット!』
「その薫子さんが住んでいる “地” でのリラクセーションですよ」
『!』
「そこに薫子さんが居るから天から光の神柱も何十本降りてきています、上から、天からですよ。」
『!光の神柱!?』
素直に、頂いた言葉通りにリラクセーションを進めてみた。
今までとは質の違う事がクライエントに数々起こり始め、霊的成長をしているクライエントの “魂” が丸みをおび輝きも進み、それが見て取れるまでになって来た。
今までは何だったのか?っと思う節もあるが今までは今まで……と、気を取り直す。
先生に出会えた理由も、自分がどんな存在かも知る事は出来た。
意識の変換が必要なのも十分承知し、眠っていた力も解放され始めた。
十神柱引き連れていた神々が、今や二十数神柱と先生は仰る。
魂の大きさも色々な例えして教えてくださる。
「生まれつきの能力を自覚しなさい、理解しなさい、能力の解放の意味を知りなさい。
肉体は纏ってはいるが、人では無いこともそろそろ理解しないとなりません。」
伺う度に先生は私を論じ諭す、その時私は混乱する。
混乱している“魂”を凝視するのは、真朱色の龍だ。
損得しか存在しない現象界で出会えた幸運は、誰にも共感出来ないだろう。
神さま、ありがとう。
先生、ありがとう。
全ての事に感謝……。